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2012/02/10 15:12 |
最新の自閉症治療研究: 自閉症の子供/大人に対する、ビタミン/ミネラルサプリの有効性 |
私がアリゾナ州立大学の自閉症治療研究者であるDr. James Adamsを信頼していることは以前にもこのブログに書きましたが、去年12月、彼が素晴らしい研究結果を発表したので、今回はそれを紹介しようと思います。
欧米では自閉症治療にビタミン・ミネラルなどのサプリを使うことが一般的になりつつありますが、有効性を証明する科学的な研究は他の病気の治療に比べるとまだまだ少ないのが現状です。この"科学的な研究が少ない"という事実が、自閉症のバイオメディカル治療に異論を唱える人達の一番の論点になっているようです。Dr. Adamsはそのことを十分理解し、少しでもたくさんの科学的証明を増やそうと頑張っておられる研究者の一人です。
Dr. James Adamsはご自身でも自閉症の娘を抱えておられ、2004年ごろから栄養療法やその他の治療法の有効性について積極的に研究されてきました。今日ここに紹介するのが、彼の栄養療法(サプリ摂取)に関する最新研究結果です。以前紹介したSyndionというマルチビタミン・ミネラルサプリが実験に使われています。数字的にもはっきりと有効性が確認できたようなので、次回のARI学会でも大きく取り上げられることになるのではないかと思っています。
個人的な意見ですが、「自閉症に治療法がある」という認識が非常に薄い日本の自閉症関係者(医師、栄養士、養護施設の先生など)には、ぜひ読んでもらいたい論文だと思っています。日本語訳がないので英語が読める方に限られてしまいますが、もしこのブログを覗いてくださっているみなさんが自閉症に治療があることを一人でも多くの人に知ってもらい、一人でも多くの治療者・研究者が日本に増えて欲しいとお考えなら、ぜひお近くの自閉症関係者に一読を勧めてみてください。草の根運動的な発想ですが、自閉症治療がほとんど知られていない日本では、周りの人達に欧米での治療法について話題にしていくことが、自閉症児を持つ親が出来る一番の方法ではないでしょうか。
Effect of a vitamin/mineral supplement on children and adults with autism
James B. Adams, Tapan Audhya, Sharon McDonough-Means, Robert A. Rubin, David Quig, Elizabeth Geis, Eva Gehn, Melissa Loresto, Jessica Mitchell, Sharon Atwood, Suzanne Barnhouse and Wondra Lee
BMC Pediatrics 2011, 11:111 doi:10.1186/1471-2431-11-111 Published: 12 December 2011
実際の論文はこちら↓からアクセスしてください。
Full Version: http://www.biomedcentral.com/1471-2431/11/111
Abstract Version: http://www.biomedcentral.com/1471-2431/11/111/abstract
(注:過去に「今までアクセスできていた論文が、突然見れなくなった」ことが何度もあったので、日本の自閉症関係者に紹介するならなるべく早く、もしくは万が一のためにプリントしておいたほうが賢明かもです。)
以下はこの研究の簡単な要約です(私の下手な翻訳ですみません・・・)。実際の論文には研究方法と結果に関する詳しい情報たくさんが入っており、医学を知る人しか理解できないと思われる箇所もありますが、英語自体はそんなには難しくないと思うので、できればご自分でもオリジナルを読んでみてください。
研究方法
この研究では141人の自閉症スペクトラム障害(PDD-nosやアスペルがーも含む)の診断を持つ子供と大人が被験者として集められ、一つのグループにはビタミン・ミネラルのサプリ(Syndion)を、もう一つのグループにはプラセボ(偽のサプリ)が与えられた。実験期間は3ヶ月間。被験者は過去2ヶ月間にビタミン・ミネラルのサプリメントを摂っていない人達。サプリを与える前と後に、自閉症の症状と重症度を測るためのテストが行われた。一部(53人の5-16歳の子供)の被験者には、実験の前と後に採血と採尿による栄養と代謝の検査も行われた。
結果
ビタミン・ミネラルのサプリの経口摂取は、自閉症スペクトラム系の診断を持つ子供/大人の栄養と代謝、そしていくつかの自閉症の症状を著しく改善することが実証された。栄養・代謝に関して特に改善が見れらたのは、ビオチン、グルタチオン、Methylation(メチル化反応)、酸化ストレス、Sulfation(硫酸化)、ATP(アデノシン三リン酸)、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、そしてNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)。親によるParental Global Impressions-Revised (PGI-R)の評価によると、自閉症の症状の中で改善したのは、ハイパーアクティビティ、癇癪、総括、そして言語の受容性(改善度の大きかった順)。これらはサプリを摂ったグループは著しく改善したが、プレセボを摂ったグループはほとんど改善が見られなかった。PGI-R以外の3つの評価ではサプリとプレセボのグループに統計的に有意な結果がみられなかったが、もっと長期にわたって実験をすれば、もっと大きな効果が見られるかもしれない。
現在Dr. James Adamsは、彼の次なる研究(3ヶ月ではなく、1年の実験期間のもの)のために、被験者(= 診断を持っている人と、持っていない人の両方)を募集されている最中です。実験に参加すると$99分のギフトカードがもらえるし、きっと勉強にもなると思うので、しょんしょんにもぜひ参加させたいところですが、すでに2年以上サプリを摂って改善しているしょんしょんは、どう頑張っても被験者にはしてもらえません・・・(T_T) 残念ですが、次の研究結果を楽しみに待つだけにしようと思います。
Dr. James Adamsの研究についてもっと詳しく知りたい方は、http://autism.asu.edu/へどうぞ。
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